13
OCT
2003

儚いゆえの空

(当時28歳)

幼い頃から空が大好きで。いつも空を見上げてた。

中学生の頃、毎日のように掃除時間になると階段に座り大きな出窓から見える限られた空を、雲の行方を見守ってた。雲の形が変わり行く様を見てた。雲の向こうにはラピュタがあるなんて考えてさ、雷雨の後のよく晴れた空の雲の向こうはよく注意して見てた。「あるわけないじゃん」と分かっているんだけど心のどこかで思っちゃうわけよ。「もしかしたら」なんてね。

電車に揺られながら、まあ座れなかったとき、外の景色が見えるとき目にするのはすぐ近くの物体。ビルとか家とか木とか人とか車とか、すぐそこにあるもの。視線をだんだん遠くにやっていくとそこには空がある。目の前の景色はすぐ移り変わるというのに、空は変わらない。なるだけ遠くの遠くまで見ようとして、その空の下には知らない人たちがいることをちょっとだけ考えて。

おれの最高の空の見方。寝そべって見る。歩きながらとか、座ったまま見上げる空とは比べもんにならない世界がそこにはある。
空が一番遠くにある季節っていつだと思いますか?
空気が澄んで遠くがよく見えるようになるのは冬だけど。空が一番遠くにある季節って、思うに夏なんだよね。なんとなくだけど。だから夏の空は切ないよ。あんなに猛々しい雲なのに。なんかね。

空を見上げて。「人」の「夢」と書いて「儚い」。
儚いってさ、たとえば空をつかもうとして、どんなに手を伸ばしても届かないと知りながら、届くようにずっと手を伸ばし続けることなんだと思う。
それってバカかもしれない。意味ないかもしれない。でもおれはバカでもいい。意味なんていらんよ。

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