気高く倫理的な組織であるための基本は、「多くの人々を援助する」「正しい行いをする」「社会に還元する」の3つである。単純ながら実行は難しい。
起業の要締1 エンジン始動
- 意義を見出す
・世界をよりよい場所にする
・生活の質を向上させる
・ゆゆしき悪を正す
・すぐれたものが終わるのを防ぐ - 標語(マントラ)を決める
- 走りだす
見込み客の気に入るように製品を修正してはいけない。そうではなく、顧客がすでに気に入ってるから修正する。 - ビジネスモデルを明らかにする
- マット(MAT)を織る
マイルストーン(Milestones)、仮説(Assumptions)、タスク(Tasks)を考え、発散を防ぐ
マイルストーン(節目となる目標)
- コンセプトを裏付ける
- 具体的な設計を終える
- プロトタイプを完成させる
- 資金を調達する
- テスト用の製品・サービスを顧客に提供する
- 最終的な製品・サービスを顧客に提供する
- 収支とんとんを達成する
起業の要締2 ポジショニング
しかるべきポジショニングは新しい組織の中心となる「魂」を代弁する。
優位性を把握する(ポジティブ、顧客中心、自信を植え付ける)
- なぜ創業者はその組織を立ち上げたのか
- なぜ顧客はその組織をひいきにすべきなのか
- なぜすぐれた人材はそこで働くべきなのか
ポジショニングの利点の具現化
- 一目瞭然(経費の節減、収益の拡大、といった利点だけでなく、心の平安、悟り、喜びといった高尚な概念も具現化する)
- 具体的(特定の顧客をターゲットにする。「ウェブサイトのセキュリティ向上」→「銀行のオンライン取引における不正行為の削減」)
- 中核的(核となる強みがすぐれたポジショニングとなる)
- 適合的(核となる強みが、顧客のコアニーズが適合しなければ、そのポジショニングは魅力的ではない)
- 長持ち(100年はもつポジショニングをめざしたい)
- ユニーク(競争相手と同じようなポジショニングであってはならない)
起業の要締3 売り込み
最初の1分で自分の説明をする。あなたが何をしているかさえ分かれば、聞き手はほかのどんなことももっと集中して聞くことができ、話が多少脱線しても大目に見てくれるだろう。
10/20/30ルールを守る
短すぎる売り込みはありえない。すぐれた売り込みは聞き手を質問したい気にさせて長引くからだ。
10枚のスライド
売り込みの目的は関心を促すこと。投資家向け、見込み客向け、潜在パートナー向け、の3種類。
20分
1時間の約束の時間があったとしても、売り込み自体は20分で終われるようにする。急遽1時間もらえないかもしれないし、話し合いの時間をたっぷりとるため(スライドごとでもスライド終了後でも)。
30ポイントのフォント
資料を説明するのに小さなフォントを使わなければならないとしたら、それは内容を詰め込みすぎている。
- すべてを開示する(隠してはならない。問題をキレイに解決できないのであれば「懺悔」する)
- 敵をつくる(われわれにできて、彼らにできないこと。彼らにできて、われわれにできないことをリスト化することで、現実を見て競争相手を褒めることができ、知っていることを明瞭簡潔に説明でき、都合のよくない事実を明かすことができる)
ノーと言った(かもしれない)投資家が、なおもあなたのことを見ている。
- 売り込みのあとに連絡をとろうとしたか?
- 売り込みの際に受けた質問に答えたか?
- 主張を裏付ける補足情報を提供したか?
- 有力な顧客と契約したり、目標を早めにクリアしたりして投資家を驚かせたか?
- ほかの優良投資家が小切手を切ってくれたか?
ベンチャーキャピタリスト像のベールをはいでみる
- 彼らはあなたの事業分野についてあなた以上に知っているわけではない(それでも、何億ドルというお金を扱っている)。
- 一流の投資家をつかまえても成功が保証されるわけではない(彼らはたくさん賭けを打つが、そのほとんどは失敗すると踏んでいる)
- 外部資金を一ドルでも入れたらあなたは「支配権」を失い、すべての株主に対して責任を負わなければならない
- 販売や提携に弾みをつけるチャンスをくれる。将来の投資家探しを手伝ってくれる。でもそれだけだ。
起業の要締4 事業計画作成
読みやすく、適正な数字を示す。
どの事業計画も4、5年目の売り上げ高は似たり寄ったり。
投資家が知りたいのは、自ら生み出すキャッシュフローで自立できるまでにいくら必要か、該当の資金が使われる間は毎月、その翌年は四半期ごと、利益がでるまでは毎年の数字。結局、黒字化までどれくらいのキャッシュが必要なのかを見きわめたい。
ただし、気にしなくていいのは、成功した多くの組織が途中でビジネスモデルを変更している。結果的に成功すれば、計画どおりでなくても誰も気にしない。失敗したけど、計画どおり実行した、というほうが情けない。
- 長さは20ページを超えない
- 書き手はひとりにする
- ホチキスで綴じる
- 財務予測は2ページに簡潔にまとめる
- 顧客数、事業所数、再販業者数などの重要指標を盛り込む
- 財務予測のもとのになる前提条件を示す
起業の要締6 人材採用
- その人はあなたが必要とすることをできるか?
- その人はあなたが考える事業の意義に賛同しているか?
- その人にはあなたが必要とする強みがあるか(あなたが避けようとしている弱みがない、ではなく)?
- あなたの製品・サービスのデモンストレーションを依頼する(ただし三流製品を扱っていれば志望者を失う)。本当に好きならその良さを示すことができる
- 志望者が報酬や福利厚生、特典について話す時間と、あなたの製品・サービスについて話す時間を比べる
- 志望者の質問を分析する(製品・サービスへの理解があるか、それとも事業内容、顧客、競争相手などの基本的なことか)
- 投資家を満足させるために採用してはならない。採用は優れた組織をつくるため
採用活動に終わりはない。毎日が振興組織と従業員との新たな契約になる。
起業の要締8 パートナーシップ
提携で大事なのは、それによってキャッシュフローや売り上げが増え、コストが減るということである。
- 成果や目標をはっきりさせる
売り上げの上乗せ、コスト削減、新しい製品・サービス、新しい顧客、地理的に新しい市場、新しいサポートプログラム、トレーニングおよびマーケティングプログラム - 現場の人たちに受け入れラルようにする
- 弱みをごまかすのではなく、強みをさらに強化する
文書でフォローする
文書はつねに話し合いのあとでなければならない。
- 実際に会ってポイントを検討する
- 合意しだしたらホワイトボードにその内容を書きとめる
- 提携の「枠組み」を記した1〜2ページのメールでフォローアップする
- メール、電話、フォローアップ会議などを通じて細かい点まですべて確認を終える
- 法的文書の草案を作成する
「終了条項」を入れておく。たとえば「いずれの当事者も30日前に通知することで本契約を解除することができる」のような。こうすることで両当事者が安心でき、かえって契約が長持ちする
起業の要締9 ブランド構築
ブランド構築に必要なのは、人々に伝染しやすいこと、人々が試しやすいこと、口コミを重視すること、そしてブランドをめぐるコミュニティを築くこと。
エバンジェリストを雇う
- 助けを請う
- 学歴や職歴は気にしない
- 大切なことだけにフォーカスする(製品にほれこんでいる人物か、手を貸したいと思っている人物か)
- 100人なら100人に好きなようにやらせる
- 仕事を与えて成果を待つ
- 「愛情」を注ぎ続ける
人間味を出す
- 若者をターゲットにする
- 自分自身を笑い飛ばす
- 顧客を主役にする
- 恵まれない人たちに手を差し伸べる
実行を言葉にする
有言実行であると同時に、実行を言葉にする。そうすることで、誰もが簡潔かつ説得力のあるカタチで宣伝できるようになる。
起業の要締10 事業拡大
実際に試してもらう
- 「あなたならきっとおわかりになります」
- 「無理に買っていただこうとはしません」
- 「製品・サービスをお試しください」
- 「そのうえでご判断ください」
安全で容易な第一歩を提供する
- ひとつの地域
- ひとつの部門
- ひとつのプロジェクト
- 短いお試し期間
付録 スピーチの原則
- 興味を引く話をする
- 正装する
- セールスは慎む
- ストーリーを語る
- 事前に聴衆と交わる
- 子どもの話をする
- 自分をおとしめる
- イベントの最初にしゃべる
- 小さめの部屋を頼む
- それまでにイベントで起こったできごとを知っておく
- 競争相手をけなさない
- 練習する
- あるテーマについて興味深い事柄を10個用意する(用意できない場合は話さなくてよい)
- パネリスト紹介をコントロールする
- 情報を提供するだけでなく、楽しませる
- 真実を言う(とくに真実が明らかなときは)
- シンプルすぎるくらいシンプルに話す
- 退屈そうにしない
- 司会者を見ない
- ふつうの会話をする
- 訊かれたことに答える、しかし訊かれたことだけに答えない
- 「ほかのパネリストの方々に賛成です」と言わない(別のこと、新しいことを言いたい)