制作記事 運用情報徒然なままにいつからフリーを考えていたか

いつからフリーを考えていたか

「いつからフリーランスになることを考えてたんですか?」会社を辞める時によく聞かれた質問。「この業界に来たときから、いつか独立したいと思ってたんです」嘘ではないし、その答えで大概納得してもらえていたので、それ以上のことを語ることはあまりなかった。
ただ自分にとってこの答えでは芸がなさすぎるなと思い直し、改めて今ここにある状況に至った経緯をメンタル視点で振り返ってみることにする。

およそ10年前。30歳を迎えるにあたり、フリーター生活を見直しもっと稼いだ働きをしたいと考えた。そのためには手に職だ。もともと考えることやモノを作ることが好きだったので、そんな関係の仕事ができればいいなと思索した。とりあえずデザイン系の専門学校の説明会に参加する。そこでデザインにもいろいろなデザインがあることを知る。その中でも紙媒体を主としたDTPデザインとまだまだ歴史が浅いが昨今注目されているというWEBデザインが気になった。そんな折、当時の小泉政権がインターネットのインフラを強化するニュースを見た。ちょうどその頃、ネット通販にも直接関わりがあり好調であることを体感していた。答えは出た。「WEBデザイン」だ。

企画から公開するまでの一連のフローを専門学校の短期コースで習得した。その間独学を続け、不明点は受講後に、恥ずかしさやプライドは捨て、なんでも講師に聞きに尋ね、貪欲にスキルを吸収していった。デザインをなんとなくではなく、語れるようになるよう取り組んだ。見た目のデザインだけではなく、画面に見えていない内部の作り方までこだわった。いわゆるプロ意識は高かった。
それから就職したが制作側から管理側として期待されるようになったとき、まだ早い、もっと制作したいと考え、その後は派遣社員として経験を積む。実績年数を補うために、いろんなセミナーに参加したり、書籍で学習を続けた。30歳半ばくらいまでは「え?この業界に来て間もないのにそんなにできるの?」と言われることが多く、その度に「それほどでも」「プロとして当たり前」などと謙遜しつつも、鼻は伸びきっておりました。

派遣社員として勤務している間、独立を意識し仕事請負サイトを立ち上げた。リスティング広告を出稿したが、結局問い合わせ数件あった程度で正式受注には至らなかった。仕事しながらの副業はさすがに厳しいかな、と独立の意思はあるものの弱腰になっていた。
そんなときに転機が訪れる。だいたい任される内容+αがを体験したら新たな職場で、というスタンスで、次を検討し始めたときに正社員登用のお誘いがあった。ちょうど同時期に前職場の方からある会社のWeb部門へのお誘いもあった中で、迷った結果、業界的には正社員とはいえ終身雇用という感覚はあまりないことを把握していたから、あまり深く考えるのはやめて派遣から正社員へとお世話になることに決めた。

そこからの数年は自分に与えられた役割を全うすべく仕事をこなした。ちょっと違和感を感じるようになったのは、入社時に描いた数年後の自分がそこにはなかったことかもしれない。「どうすればいい?」と聞かれて自分に答えがないのは致命的だったかもしれない。答えはすでにアウトプットしてきたつもりだったからだ。
時は前後して、仕事に対しての不満が募っていたとき「会社を辞めようと思ったら読む本」という本に出会った。これを読んで逆にフリーを考えるのを辞めた。それまでの自分の思考の甘さを感じた。「自分だったらこうするのに。分かってもらえないんだったら自分でやる」というマインドではダメだってことを痛感した。それは「趣味」と捉えることにした。
時は前後して、正式に会社を辞めようと決めた。その後どうしようか考えたときにフリーという選択肢が浮上した。退職理由を聞かれるのは辛い。現状に満足しているものが退職などするだろうか。何かしらの不満があるから退職するのではないだろうか。その不満を口にするのは嫌だ。
退職理由を正確に答えるなら、その不満に取って換わる次のステージが見つかったからだと思う。退職理由を語るのに不満ではなく、次のステージを語ることは重要だ。実際は、不満な結果と不安と希望のきっかけだ。自分の場合は、不満な部分を含めて話しをしても許される環境にいたことは大変ありがたかった。

結局「いつからフリーを考えていたか」の答えだが、「この業界に来たときから、いつか独立したいと思ってたんです」。