「CSSは記述しているのに適用されない」という質問が多々あるので、あらためて基本をざっくり。
CSSを指定する方法として、大きく分けて2通りの考えをマスターする必要があります。それは、「記述する場所」と「記述の仕方」です。
記述する場所
CSSを記述する場所は、3+1通りあります。
- htmlファイル内のbodyタグ内
- htmlファイル内のheadタグ内
- 外部CSSファイル内
- 外部CSSファイル内でさらに外部ファイルを呼び出すCSSファイル内
それでは、実際にサンプルを見てみましょう。
- xhtmlファイル
-
<html>
<head>
<link rel="stylesheet" type="text/css" href="css/all_map_css/sample.css" media="all" />
<style type="text/css">
p{
padding:30px;
background-color:#222;
color:#fff;
font-size:40px;
}
</style>
</head>
<body>
<p style="padding:40px; background-color:#990000; font-size:50px;">これはテストです</p>
</body>
</html> - sample.css
-
@import "sample1.css";
p{
padding:20px;
background-color:#666;
font-size:30px;
} - sample1.css
-
p{
padding:10px;
background-color:#CCCCCC;
font-size:20px;
}
全体を見たところで、ここからは個別に解説します。
htmlファイル内のbodyタグ内
<p style="padding:40px; background-color:#990000; font-size:50px;">これはテストです</p>
直接タグ内にCSSを記述します。
- メリット
- ピンポイントでそこにしか適用させない見え方を実装する場合に便利
- CSS初心者には分かりやすい
- デメリット
- 同じ見せ方を追加する際に、CSSごと書かなくてはいけないので面倒
- 複数に同じCSSを記述してた場合、改修が面倒
htmlファイル内のheadタグ内
<style type="text/css">
p{
padding:30px;
background-color:#222;
color:#fff;
font-size:40px;
}
</style>
headタグ内にstyleタグを利用して記述します。type属性は必須です。
- メリット
- 単ページにしか適用しないCSSを記述する際に便利
- デメリット
- 複数ページに同じCSSが記述された内容を改修する場合、対象ページすべてを修正する必要があり面倒
- ページ内にCSSの内容が記述されてしまい、本文が見つけにくくなる(SEO的にも不利)
外部CSSファイル内
<link rel="stylesheet" type="text/css" href="css/all_map_css/sample.css" media="all" />
@import "sample1.css";
p{
padding:20px;
background-color:#666;
font-size:30px;
}
htmlファイル内にlinkタグを使用して、外部に用意したCSSファイルを読み込みます。現在もっとも多く利用される方法です。
- メリット
- 複数ページに渡って同じ見え方を設定する際に便利
- 「内容はhtml」に「見え方は外部CSS」と分離することで、管理しやすい
- デメリット
- CSSの知識がないと煩雑したCSSファイルとなってしまい、かえって分かりにくくなる可能性あり(正しい知識が必要)
外部CSSファイル内でさらに外部ファイルを呼び出すCSSファイル内
@import "sample1.css";
p{
padding:10px;
background-color:#CCCCCC;
font-size:20px;
}
CSSファイル内で、@importを利用することで、さらに別の外部CSSファイルを呼び出すことができます。
- メリット
- CSSファイルを分けることで、分かりやすく、管理することができる
- デメリット
- 外部CSSを呼び出すときと同様に、CSSの知識がないと煩雑したCSSファイルとなってしまい、かえって分かりにくくなる可能性あり(正しい知識が必要)
では上記の例ではすべてpタグについてのCSSが記述されていますが、実際に適用されるCSSはどれでしょうか?
「htmlファイル内のbodyタグ内」に記述した内容が適用されます。
これは、記述する場所によって優先順番が決まっているからです。
「htmlファイル内のbodyタグ内」 > 「htmlファイル内のheadタグ内」 > 「外部CSSファイル内」 > 「外部CSSファイル内でさらに外部ファイルを呼び出すCSSファイル内」
「外部CSSファイル内」と「外部CSSファイル内でさらに外部ファイルを呼び出すCSSファイル内」では、「外部CSSファイル内でさらに外部ファイルを呼び出すCSSファイル内」が先に読まれる、つまり「外部CSSファイル内」が後に読まれ、前に書かれた内容を上書きするので、「外部CSSファイル内」が優先される点に注意してください。
記述の仕方
もうひとつ、正しく理解しておく必要があるのが記述の仕方です。というのも、優先順番は記述する場所によってのみ決まるわけではありません。
記述の仕方によっては、たとえば「htmlファイル内のheadタグ内」より「外部CSSファイル内でさらに外部ファイルを呼び出すCSSファイル内」が優先されることがあり、2通りに大別できます。
- 「class名」と「id名」と「タグ」の関係
- 「!important」
「class名」と「id名」と「タグ」の関係
記述する場所を3+1通り紹介しましたが、3+1通りを2通りに分けます。
- htmlファイル内のbodyタグ内
- htmlファイル内のheadタグ内
- 外部CSSファイル内
- 外部CSSファイル内でさらに外部ファイルを呼び出すCSSファイル内
を
- htmlファイル内のbodyタグ内
- それ以外
- htmlファイル内のheadタグ内
- 外部CSSファイル内でさらに外部ファイルを呼び出すCSSファイル内
- 外部CSSファイル内
とします。優先順位は、
「htmlファイル内のbodyタグ内」 > 「それ以外」
ですが、「それ以外」の「htmlファイル内のheadタグ内」「外部CSSファイル内でさらに外部ファイルを呼び出すCSSファイル内」「外部CSSファイル内」は、記述の仕方で、記述する場所より優先してCSSを適用させることができます。
その仕組みは「スコア制」で、id、class、タグ、子孫セレクタなどをスコア化し、その合計数が多い方を適用するというものです。同点の場合は、記述する場所に依存します。
サンプルを見てみましょう。
- xhtml
- <div><p id="sampleId" class="sampleClass">これはテストです</p><div>
pタグをdivで括り、pタグにはclass名とid名を追加、編集しました。
- CSS
-
div p#sampleId{font-size:28px;}
div p.sampleClass{font-size:26px;}
div p{font-size:24px;}
div #sampleId{font-size:22px;}
div .sampleClass{font-size:20px;}
p#sampleId{font-size:18px;}
p.sampleClass{font-size:16px;}
p{font-size:14px;}
#sampleId{font-size:12px;}
.sampleClass{font-size:10px;}
上記の書き方は、どれもpタグに適用されるはずのCSSです。実際には、一番最初の「div p#sampleId{font-size:28px;}」が適用されます。
class名は何点、id名は何点、タグ名は何点、という決まりがあるのですが、いちいち計算しながら優先されるのが何か検証するくらいなら、実際に試したほうが早かったりします。
なのでスコアを覚える必要はないといっても過言ではないでしょう。計算する必要があるくらいのCSSなら、そもそものCSSを改善したほうがよいでしょう。
ポイントは2つ
- 「divの中のp」のように「の中の」を追加した方が優先される
- 「タグ名 > id名 > class名」の順に優先される
「!important」
p{
padding:10px !important;
background-color:#CCCCCC !important;
font-size:20px !important;
}
<p style="padding:40px !important; background-color:#990000 !important; font-size:50px !important;">これはテストです</p>
これまでの説明をばっさり無視して、あらゆる記述よりも最優先させて適用させる方法があります。その無敵さゆえ、取り扱い要注意です。「!important」を利用することでそれは実現できます。使い方を誤ると、「!important」がたくさん出現し、「!important」が「!important」を上書きするような理解不能なCSSになってしまう危険があります。CSSを正しく理解してから、もしくは最終手段として「!important」は利用するようにしましょう。