現実
(当時30歳)
前を向いて歩いている。
いや、歩くというよりはむしろ、目の前にある壁を少しずつ削り落としている感じ。
暗い暗い。
なかなか前へ進めない。
でも止める気はなくて、削り落とし続ける。
体についてしまった汚れが気になって。
汚れる度に振り払い、また削り落としていく。
ただ、ふと振り返ればそこは青空で。
風もない。
大きな雲がゆーっくりと、東から西へ。
広がる世界。
息を深く吸い込んで。
大地に立つ。
実感する。
両手を空に向けて伸びをする。
それは想像以上の心地よさで。
土手に登って走り回る。笑顔。開放。
このまま空を飛べるかも、なんて空想。
でも振り返る事はしない。
前を見る。
何のためかなんて分からないし、別にどうでもいい。
自分の居場所を探すため、そこにいていい場所を見つけるため。
電動シャベルが壊れてしまったから、手シャベルを振りかざし、力一杯に壁にぶつけ続ける。
「ガシッ、ガシッ、ガシッ」
全体の壁から見たら、この一撃はなんて微力なのだろうと弱気になる。
いや、もしかするとこれが決定打で壁が崩れ落ちれ、目の前に新世界が広がるのかもしれないと希望を抱く。
浮いては沈む明日を想像しても仕方ない。
分かってる。
だから今は少しずつでも、この壁を削り落としていくんだ。
いや、歩くというよりはむしろ、目の前にある壁を少しずつ削り落としている感じ。
暗い暗い。
なかなか前へ進めない。
でも止める気はなくて、削り落とし続ける。
体についてしまった汚れが気になって。
汚れる度に振り払い、また削り落としていく。
ただ、ふと振り返ればそこは青空で。
風もない。
大きな雲がゆーっくりと、東から西へ。
広がる世界。
息を深く吸い込んで。
大地に立つ。
実感する。
両手を空に向けて伸びをする。
それは想像以上の心地よさで。
土手に登って走り回る。笑顔。開放。
このまま空を飛べるかも、なんて空想。
でも振り返る事はしない。
前を見る。
何のためかなんて分からないし、別にどうでもいい。
自分の居場所を探すため、そこにいていい場所を見つけるため。
電動シャベルが壊れてしまったから、手シャベルを振りかざし、力一杯に壁にぶつけ続ける。
「ガシッ、ガシッ、ガシッ」
全体の壁から見たら、この一撃はなんて微力なのだろうと弱気になる。
いや、もしかするとこれが決定打で壁が崩れ落ちれ、目の前に新世界が広がるのかもしれないと希望を抱く。
浮いては沈む明日を想像しても仕方ない。
分かってる。
だから今は少しずつでも、この壁を削り落としていくんだ。